ハーブ園 (散文詩 9)/AB(なかほど)
、でも、
行き先も知らないし、正しい道なのかも知ら
ないんです」
バスは岬の先端に辿り着き、すぐそこには島
影が見えていたり。ここを渡って行った人、
ここを渡って帰ってきた人、ここを渡れない
ままの人、ここから見ているだけの人、ここ
へ帰ってこれない人、そして「行くのですか」
と問い掛ける。
ここから続く空、はるか空の下、鉄の塊に乗
り、さらにはるかな地に降りたったGI「行っ
てしまうのですか」と問い掛ける。「あなた
も行ってしまうのですか」と問い掛ける。あ
なたも列に並んで、あなたの親も見た事のな
い変わり果てた瞳で、こおろぎを見つめるほ
どの情も映えてこない瞳で、足並みは、揃わ
されてしまったのでしょうか。
土から生まれた唄のように、いつまで経って
も、詠唱の意味が解けることはないでしょう。
そして、スカボロー・フェアーは終わる事を
知りません。せめて、ハーブをちぎり、魂を
在るべき場所へ。
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