私の指紋主義/入間しゅか
ーによって私の指紋ドッキリはヤラセと判明する。特定班がヤラセに関わった人物の個人情報を次々特定していく。肝心の私の指紋については誰一人として調べるものはいない。その頃から私の指紋について疑問を持つ人々が現れる。指紋についての諮問が行われる。口頭試問、尋問、拷問まで。私の指紋はいつしか反体制のシンボルとなる。私の指紋を掲げた反政府ゲリラが組織される。私の指紋の革命運動に多くの芸術家が参加を表明。私の指紋主義文学、私の指紋主義の絵画や彫刻など。世界規模の運動に発展する。いくつかの国ではクーデターによって私の指紋主義の国家が生まれる。情勢悪化に歯止めをかけるために先進国が一段となって協力する意思を示す。で、細長い札のようなものの原材料である細長い札のようなものになる前のものを輸入に頼っていた我が国では軒並み細長い札のようなものの価格が高騰する。そして、生産終了。私の指紋は出回らなくなる。私の指紋主義革命も一気に廃れる。先進国が私の指紋主義によるテロとの戦いに勝利したと高々に宣言した。私の指紋は時代の遺物となる。その資料は国立私の指紋記念館に所蔵さている。
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