陽の埋葬/田中宏輔
 
った。また、平均以下の、あまり出来のよくないエクトプラズムも、それらの術師たちの手によって処分されることになっていた。そして、質のよいエクトプラズムのなかでも、もっとも質のよいエクトプラズムから、死体を生かしておく霊液がつくられるのであった。図書館の死者たちが生きつづけて、われわれの文化の礎となっているのも、これらの霊液のおかげである。永遠に生きつづける死者なくして、文化など存続できるものだろうか。自然もまた、術師たちのように、さまざまなものたちの魂からエクトプラズムを抽出して、さまざまなものをつくり出す。妖怪や化け物といったたぐいのものがそうである。自然の何がそうさせるのか、いろいろ言われている
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