陽の埋葬/田中宏輔
術師たちが部屋に入ってきてしばらくすると、死刑囚たちの頭に被せられていた布袋が、下級役人たちの手でつぎつぎと外されていった。どの死刑囚たちにも、摘出された眼球のあとには綿布が装着され、その唇は、口がきけないように上唇と下唇を手術用の縫合糸でしっかりと縫い合わされてあった。見なれたものとはいえ、術師たちはみな息をのんだ。嗅覚者は、自分の右隣に坐った男を横目で見た。男は術師たちの長とおなじ、幻覚者であった。嗅覚者は、以前に何度か右隣の男と言葉を交わしたことがあったが、以前の様子とは少し違った雰囲気を感じとっていた。男の前に坐らされていた死刑囚が頭を揺さぶった。眼があったところに装着されていた綿布
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