月の村 (散文詩 8)/AB(なかほど)
 
凸凹配位座はいつでも漂っていて、なにかの
拍子に、繋ぎ合っている手のひらの合間にも
ある。ついさっきまで当たり前のことが、風
ひとつ吹いただけで何ひとつ理解できなかっ
たり、その道理に畏れたり。わかっているふ
りをしながら、何ひとつわかってはいないの
だろうけど、当たり前のように。


田植えのすっかり終わった頃、いくつもの大
きな鯉のぼりが風に吹かれ、子供の日を学校
やテレビで教わった子は指をさして不思議が
る。月の暦では今からなんだ。五月晴れなん
てのは今からなんだ。もしかしたら、細胞の
ひとつひとつに繋がっているかもしれないと
いうのに、凸凹配位座がどこかですり
[次のページ]
戻る   Point(6)