一ふき風の/ひだかたけし
風 一吹き、
風景の
すきとほり
あける荒涼の光景の、
わたし何想うことなく只集中し
風一吹きの感触包まれて白手伸ばす、
一ふき風のふとどよめく感情
その内に在るもの、
その底に潜むもの、
高貴な芳しき輝きの 陰惨な光景のどす黒き
中央に座し澄みわたる
空海地平の担う慈悲
父母遥かな故郷の愛
光の降り注ぎ雨の降り頻る深い泉のその抱擁
ふとどよめく感情に一ふき風の
*
一ふき風の、
心象
すきとほり
あける荒涼の光景の、
わたし何想うことなく只包容し
時の果てる迄、
この意識の澄みやかさ生き究める
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