一昨日後ろの僕と/アラガイs
 
奴からガンつけられるとどうにも我慢ならない、これも損な性格だと気づかずに、僕は一生損な役回りを演じてしまうことになるだろう。きっとそうだ。あの頃は煮え切らない獣だった。夜はずっと鏡を見つめていた。

母親や姉が使う鏡台の前に座りこみ、なんの気まぐれか一度だけ化粧を試したことがある。
 綺麗な脚をしてるね。姉の知り合いや、同級生の女の子たちからそう言われていたのでスタイルには自信があったんだ。運動能力も高かったので筋肉は締まり身体も細かった。そしてなによりも体毛が薄くて肌もつるつる。腕や脚のすねにはほとんど毛という毛が目立たなかった。それでも女は弱くて気まぐれな天の邪鬼。男の子は女に頼るもので
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