あき/
リリー
一雨ごと秋が
次第に充ちて来る
野道行く行く
さらけ出す
心一つは鋭きものと今更に知る
(西山は しぐれするらし一陣の風渡りたり
道端、草葉にやすむ糸蜻蛉)
胸うちに うかがい知れぬもののあり
そを寂しみて
横目のやり場を探しているのが わたし
満ちてくるもの
心に 音もなく
姿もなく
不意に満ちてくるもの
村里の通雨
流れ去って雲の切れ間、
はや昇りたる月は満ちゆく
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