傷のこと/こしごえ
とも、
秘密の宝を傷つけることも、
秘密の宝を大切にすることも
自分以外にはできないのです。
けれど
今も心の傷は痛む時がある
こういう時は 心の痛みをなぜるように
「だいじょうぶ。私の全てをとは言えないが、
私は私を知っている。……
この心の痛みに私の心は試されているのだ」
というようなことを言いながら
傷のある銀の指輪の肌を指で少し触る
このような指輪はお守りです
心の傷の深さは いのちの深さとつながっていて
私の いのちを育てていく
蜩(ひぐらし)の かなかなかなかなかなかなかなかな……と歌う歌声が
空へ心地好くひびく
一人 林の陰に立ち 傷を思う
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