無題/モリマサ公
 
クアンドリターン
軸足をその方向に向けて蹴るとうまくいく
芝生に寝転ぶ
腕や足に登ってくる蟻
飛んでくるボール
空には無数にみえない傷ばかり
すごく静かにくっついたり
離れたりを繰り返している
墓の見える庭でスコーンとビールをいただく
文字はどこからも湧かず
最後に数字だけが並んでいるが読めない
「わかんないけど、今日何日だっけ?」
国産車のエンジンの音が上昇気流にのり
どこまでもいけそうで
いけない俺たちは繊細で
かしこい丘にもなれず
すてきな谷にもなれず
またすばらしい明日は来た
高いところから飛ぶ気分ではもうない
いずれ死ぬ
事故か寿命か病気か呪いで
そのときに記憶はもう
ないのだ
居場所を探しに行こう
歩いてはいけないぐらいの近さの
感情的で輪郭として生きること
ができる
燃えている炎の中の淋しいくらいの
明るい景色と情熱で

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