夜想73/ひだかたけし
 
永遠を求める必要はないのだ、
何故なら既に永遠の内に在るのだから

と詩想したのは誰だったか

 永遠の内に在る

鎌倉帰りのその人、
既に亡くなっていた
にもかかわらず、
映し出されたフィルム
その中に動き表情豊かに
小学生の私、父が映写した
その白壁の映像フシギそのもの
感じ「死んでるのに生きている」
という異和、
深く心に刻み込まれ未だ忘れられず

 永遠の内に在る

刻み込まれた記憶の奥から更に湧き溢れるもの
異和は肉の生死を超え打刻され裂開した
「瞬間という永遠」を意識化した瞬間持続の刻印だったのだと

 既に永遠の内に在る

その生々しく鮮烈な言葉光景のヒビキ、

この肉体の機能し在る内に正に直観し眼差せるか

私(たち)の人生とはその修練の収斂の芳しき過程なのだと、

今わたしは只夜想し。




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