陽の埋葬/田中宏輔
 
三月のある日のことだった。
(オー・ヘンリー『献立表の春』大津栄一郎訳)

死んだばかりの小鳥が一羽、
樫の木の枝の下に落ちていた。
ひろい上げると、わたしの手のひらの上に
その鳥の破けた腹の中から、赤黒い臓腑が滑り出てきました。

わたしは、その鳥の小さな首に、親指をあてて
ゆっくりと、力を込めて、握りつぶしてゆきました。

その手触り……

そのつぶれた肉の温もり……

なぜ、わたしは、誑(たぶら)かされたのか。

うっとりとして陽に温もりつづけた報いなのか。

さやうなら、さやうなら。

粒子が粗くて、きみの姿が見えない。

死んだ鳥が歌い
[次のページ]
戻る   Point(10)