寝不足/ホロウ・シカエルボク
 
なって
澄ました顔して無難なものを静かに並べるなんて
御免ね、ぼくにはちょっと性に合わないんだ

零時になると聞こえてくるヒス、ヒス、ヒス・ノイズ
耳栓なんかじゃ到底塞ぎきれないぜ
柱時計が意気揚々とあらゆる針を逆に回し
窓明かりに寄り付いた羽虫は女郎蜘蛛に食われる

キッチンでシチューが煮詰まって真っ黒い煙が上がっている
警報機が断続的に赤色を吐き出して
水を撒けと警告している、うるさい、もう少し眠らせろ
だけどこれ以上は喉が痛くてどうしようもない

火が広がる、火が広がる、火が広がる、消防車のサイレン
近所の誰かが通報したに違いない
ぼくは毛布をかぶって、なんと
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