夕焼けが足りない 1 (散文詩にしてみました 5)/AB(なかほど)
 
外そうでも
ないのかもしれない。けれど、そういうこと
ですごいことを望む。ましてや、イカの墨で
ソースを作ることや、その内臓で魚醤油が作
られることなんか知らなくてもいい。いい、
もういい。

 体育館横の自転車置き場で、剣道部の練習
の声が聞こえてくると僕は、もう夕焼けを待っ
ているように空を見上げ、商店街の方向へ歩
き出す。魚屋の前ではきっと、「夕焼けが足
りない」とうつ向いてしまうのだろう。



   

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