往生際のわるい窓ガラス〜レトリック編/アラガイs
 

夕べサマルカンドといえば聞こえもよく浮かんでくるのは撥弦に響く白い砂と一面の青さだろう

つい眼を奪われてしまいたくて昨日閉じたカーテンを少しだけ開けて眺めてしまう癖に

薄い夜の帳には光の輪をくぐり抜けた星々が出合う
                 その小さな塊が無数に衝突されてきみと僕が生まれる
そして生まれたての僕はきみのことを忘れる
                    成長するには忘れなければならない掟に阻まれてしまう
いつも夢の中で旅をするのは透明な海で
それは乾いた白い砂を巻き込んで白紙の状態に写し
それを鷺が嘴でつつきまわし砂をかき混ぜてもとに戻すのさ
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