雲の披露宴?/菊西 夕座
空のかなたで消し忘れたファンのように独楽がまわっている
地上から見れば小さな欠片のチカチカする煌めきでしかない
花嫁の消えたぬけがらの白い衣装が独楽の近くをたゆたって
さまよえるその肩に恋びとの死装束がそっと寄りそっていく
こうしてむすばれた主をもたない衣はどこまでもかろやかで
おおきな綿のようにふくらみながら繭の輪郭をもちはじめる
ふたりのむすばれを祝福するように独楽はまわり続けている
ときおり静電気の鞭がみえない速さで独楽をけしかけていく
あの独楽こそが佇立するわたしのくるおしい核なのであった
回想をやめさせてくれない鞭こそがわたしのいとお
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