海に向かって歩いていた(新訂)/ひだかたけし
 
白く光る田舎の道を
カンカン鳴り響く踏切越え
海に向かって歩いていた

  *

漂う磯の香、白波打ち寄せ
空き缶一つ、浜辺に落ちて
独り私という魂が
水平線を覗き込む

 遥か船が落ちていき
 界と界の境域を
 彼方の無限へ落ちていき
 眩暈するよに落ちていき
 (その時、独り魂は
 純白の太陽に曝され
 熱狂的な叫びを上げ
 静かさ包む涙を流し)

彼方の無限いくものよ
戻り道を投げ捨てて
瞬間の永遠が開くもの
それを掲げ在らしめよ

  *

白く照り耀く田舎の道を
カンカン鳴り響く踏切越え
海に向かって歩いている

海に向かって歩いている





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