チンダルのはしご (散文詩にしてみました 3)/AB(なかほど)
 
(曙)

 薄暗い部屋の中、光のはしごがすうっとか
けられ、それは、雨戸の隙間から漏れてい
て。僕はふとんから起き出て手を翳した。掴
むことはできない。ああ、それでも、光に触
れることができる。また手を翳して、塵に降
る光を奪ってみたり、口を開いて飲み込んで
みたり。
 バタン、と玄関の閉る音。「あら起きてた
のね」という声。「おにいちゃんは病院にお
泊まり」という声。雨戸は開け放たれ、光の
はしごは溶けてなくなった、眩しさ。



(幻)

 初めて父と見にいった映画。難しくてなん
の話かも判らなかった。それも4時間もかか
る長篇映画。休憩時間の後でフィル
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