荒れ模様の旅/久遠恭子
絶望をカバンに詰めて
眠れない夜を過ごした
前の日も雨
天気は荒れ模様
回復見込みはしばらくない
午前9時
空港の掲示板に
遅延情報が流れる
ネパールに行ったら
寺院を観光しよう
思っていたけど無理そうだ
窓の外は雷の音
太った手をじっと見る
随分年老いた醜いだけの肉塊
夢は幻
だから
仕方ない
悪びれて
残された時間
生きている間に叶うのか
いつ動けなくなるか分からない身体を引きずって
鳥になれたなら
叶ったろうか
魚になれたなら
泳げたろうか
空を飛んで海を泳げる日を夢見て
僕が世界を諦めないでいられるように
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