白んだ月/
ホロウ・シカエルボク
なにをして生きればいいのか
どんなことをしても満たされないだろうという気がした
鏡の中の自分を睨みながら
サバイバルナイフをゆっくりと首筋に当てた
さよならだ
腕に力を込めたその時
鏡の中から伸びた腕がしっかりとそれを止めた
鏡の中に居たのはあの時の兵士だった
彼は悲し気な目をして
ゆっくりと首を横に振った
ナイフは床に落ち
俺は浴槽の縁に腰を下ろした
見上げた照明の暖色は
あのときの月よりもずっと冷たかった
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