突然のスコール/久遠恭子
生ぬるい水滴が顔に当たる
スコールのせいでグロテスクに地面が陥没する
逃げるように
雨を避けて
ヤモリがへばりついてる
軒下のアクアリウム
傘を忘れたから
家に帰れない
コーラ味の飴玉を口に放り込む
シュワシュワと溶けてなくなる
誰か忘れたから
家に帰れない
誰だっけ?
ポツン
そっと
確かめる
なんとなく
存在する
しばらくして
スコールが止んで
虹の彼方へ
誰だか分からないけど
私という生き物
トクン
聞こえる
それから
歩きだす
スニーカーが滑るのを
確かめながら
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