往診の思い出/板谷みきょう
救急車が向かった先は
ススキノのマンションの一室だった
出動前の確認の時に
違和感を感じた事務員が
一、◯歳の精神科通院歴の無い成人男性が
今朝から言動が可怪しく暴れている
二、警察へ通報はしたくない
入院準備をして待ってるから
できるだけ早く来て欲しい
以上の内容の往診依頼の電話の向こう側で
何故か大勢の怒声が聞こえてきてました
往診職員の出動連絡で
玄関前に集合した運転手と医師と
そして往診鞄の中身を確認してから
看護師のボクは
カバン持ちで救急車に乗った
着いたのは
ススキノ繁華街のマンションだった
医師と二人でエレベーター
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