そいつのアパート/チャオ
 
な怠惰を防ぐために、テレビと電話と、ビデオとラジカセの位置を変えた。
一つづつ、各部屋に置いた。

そいつは、ラジカセのスイッチを入れるためにドアを開ける。
そいつは映画を見るためにドアを二回開ける。
そいつは、一人遊びと、そばを注文するためにドアを開ける。

そいつのアパートの家賃は
そいつが払わなくてもいいようになっている。
そいつが忘れていた記憶を売り物にしている輩がいるらしく、
そいつの記憶の代償に、家賃だけは何とかしているらしい。
注文したそばもつけてもらっている。

でも、腐れたものだけは自分で何とかしなくちゃいけない。
上着がないと昼間に出歩けないので

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