夜半消えゆく音に (散文詩にしてみました 1)/AB(なかほど)
 
ひとつ物音が消えてなくなれば、かき消され
ていた音が聞こえてきます。テレビを消して
みましょうか。ちょうど今頃は庭先から、み
なさんがよく知ってるものや、そうではない
虫の音も聞こえてきます。

もちろん、携帯やパソコンを覗いてるうちは
聞こえてきませんが、不思議なことに、物語、
例えばツルゲーネフやジッドなんかの、青春
を過ぎてはじめて赤面なしに読むことができ
る、初恋物語を読みながらの虫の音は、今で
も覚えてるような。

ええ、覚えてるような気がするだけです。一
体全体、あの時の虫の音は、あるいは物語の
中から聞こえてくる幻覚なのかもしれません。
その証拠に
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