この夢のどこかに/ホロウ・シカエルボク
のか?それとも誰かに依頼したのかな、これを撮ると決めた時には、もうそこにぶら下がる気持ちを固めていたのかい…俺も別にそんなことを話す気はなかった、ただこのまま帰ることになんとなく引け目を感じたのだ、すぐに話すこともなくなって―当り前だ、こいつがどんな人間なのかもわからないのに―俺は黙って映写室に立ち尽くし、首吊り死体越しに溶ける蝋人形を見ていた、どれだけの時間そうしていただろう、フィルムの末端がどこかに絡まったらしく、ポンコツ車のような音を立てて映写機は止まった、そして無理矢理に引っ張られたフィルムは伸び続け、機械は煙を上げ始めた、潮時だ、俺はシアターを出ることにした、入口のドアがおそらくは長い生
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