陽の埋葬/田中宏輔
つ置いてあるのだが、そのソファーの上に、横になって寝ている振りをしている男がいた。もしかすると、ほんとうに眠っていたのかもしれないが。三十代半ばくらいのサラリーマンだろうか、スーツ姿であった。その男のスラックスの股間部分は、まるで陰茎が硬く勃起しているかのように思わせる盛り上がり方をしていた。男の膝から下は、ソファーの端からはみ出していて、脚が膝のところで、くの字型に折れ曲がっていた。顔を覗き込んだが、ぼくのタイプではなかった。カマキリを太らせたような顔だった。緑色の顔をしていた。ぼくは、ポリバケツのゴミ箱とソファーに対して正三角形を形成するような位置に立って、最後部の座席の後ろから一階席すべてを
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