陽の埋葬/田中宏輔
 
だったのだが、つぎの日が土曜日で、仕事が休みだったので、タクシーに乗って河原町まで行くことにした。千円をすこし超えるくらいの距離だった。四条通りの一つ手前の大通りの新京極通りでタクシーを降りると、交差点を渡って一筋目を下がって西に向かって歩く。数十メートルほど歩けば、八千代館という、昼の十二時から朝の五時までやっている、オールナイトのポルノ映画館がある。食われノンケと呼ばれる若い子たちが、気持ちのいいことをしてもらいにきている発展場だった。ぼくのように二十代で、そういう食われノンケの子を引っかけにきている者は、ほかにはほとんどいなかった。狩猟にたとえると、いわば狩りをするほうの側の人間は、四十代の
[次のページ]
戻る   Point(6)