陽の埋葬/田中宏輔
 
感が、その男の子が彼の敏感な亀頭の先で味わう快感の波が打ち寄せるのだった。
 短髪の彼が、突然硬直したように背もたれに身体をあずけた。いくところなのだろう。男は、小刻みに身体を震わせた。しばらくすると、女装の彼女が顔を上げた。すると、音を立てて、乱暴に扉を押し開ける音がした。ぼくは振り返った。
 沈黙が、いつでも跳びかかる機会を狙って、会話のなかに身を潜めているように、記憶の断片もまた、突然、目のなかに飛び込んでいく機会を待っていたのだ。その記憶の断片とは、ぼくの記憶のなかにあった、京大生のエイジくんのものだった。扉を勢いよく押し開けて入ってきたのは、エイジくんの記憶を想起させるほどにたくまし
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