名無し人(新訂)/ひだかたけし
 
私という孤独が
厳しく露わになる

この瞬間、

青銅の窪みに穴穿たれ
濃密に暗まる空の青み
昼の意識に広がり
抉るように流れ落ちる

 ぽっかり深淵が口を開く、
 ぽっかり深淵が口を裂く、

遠くフルサトの汽笛響き

わたしはもう
どこにもいない






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