ゆりか/山本やま
 
湯船の蛇腹式の蓋を開けると、カツラが浮いていた
黒髪でセミロングほどの長さのカツラだった
嫌がらせだと思ったので、警察に届けて回収してもらった

一週間、今度はベランダにカツラが落ちていた
ここは四階だ、外から侵入出来るとは思えない
また警察に届けた
朝と夕方二回、警察が見回りに来てくれることになった
そこから三週間は何もなかった

三週間後、押し入れの中にカツラがあった
身に覚えのない女性用下着まであった
とうとう僕は部屋の鍵を変えた

それからといもの
洗面台のミラーの内側にヘッドの小さな歯ブラシ、
引き出しを開けると赤色の化粧ポーチ、
クローゼットに膝下丈の
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