つまらなが丘/花形新次
自称詩人が丘を
登ってこちらにやって来る
良いことなんて
何一つなかったと
ひとり呟くのが見える
足を滑らせ前のめりに転んで
みんなに嗤われている
それがウケたと勘違いして
嬉しそうな
自称詩人が
あまりに不憫でならない
つまらない自称詩に
最後の望みを託し、敗れて
それでも諦めきれず
この丘を転がり落ちるのが
ここからは見える
自称詩人と名乗ったときから
自称詩人になる
だからなるべく名乗らないようにする
一旦名乗れば
あとはお決まりの
つまらなが丘を目指すだけ
何の価値もない
つまらない自称詩を
迷惑そうな人達に
語っているのが
ここからは見える
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