日暮れ幻影/ひだかたけし
 
西の空に日は落ちて
仄かに明るむ茜色
富士は威容を際立たせ
茜の地平に黒々と
聳える巨大なシルエット

すべて静かさの内にあり
遥かな遠さを落ちていく

わたしもあなたも別々に
遥かな遠さ落ちていく
雪降り模様のこの宇宙
日々雪かきに追われては
なしのつぶてで日が暮れる
剥き出されたか細い腕
皺の刻まれいく広い額
未だこの世に属しているのか
既にあの世に属しているのか

西の空に日は落ちて
仄かに明るむ茜色
富士は威容を際立たせ
茜の地平に黒々と
聳える巨大なシルエット

すべて静かさの内に在り
遥かな遠さ落ちていく
熱気の空を鋭角に抉り
貴女の想い私の想い
深く内部へ堕ちていく









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