晩夏/山人
 
汗が目をつたい
塩辛さが痛い
草は水を失い
根無し草を被っている

ミンミンゼミは狂い鳴き
一日のはじまりから終わりまで
命の終末まで生を主張する


夏は終わろうとしていた
いつの時代も晩夏は存在し
蝉をまき散らし
暑さをふりまいた


今日も夜が明ける
朝焼けのような雲が
刷毛で描かれたように
好きな稜線の上を
こともなげに
浮かんでいる
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