オーム(あるいは人の死)/soft_machine
 
を誰より見ぬく
 彼は北風と呼ばれる季節を
 自分のはじまりにつけた
 終わりの名はオーム

  たぎゆ あら ろぐろく
   鹿にやられた 内曲がりの角だ

 海の向こうと研かれた貝がらを いくさが巡る

  まぁオーム オーム しゃら
   死がはじまる オームに帰る

 妙につるりとした顔の
 ニンゲンが白いつぶを呉れた
 何人かがついていった

 白いつぶは
 不思議な味がしていた

 しゃっしゃんがぶ しゃっしゃま おん
  眠りなよ、さらば 目が覚めたら またな

 花を飾って いつも笑って
 そのゆびは 生きる道具そのものだったから
 ことばは ひとこともいらなかった

 わたしもはだしで
 夜の公園に立った
 しかし、幼児らが描き残していった
 意味を与えあぐねるしるしを見つけ
 すぐに諦めようと思った

 彼らは呼びあっているのかも知れない
 泥を深くいじる掌が
 今も オームを
 憶えているように見えはしまいか




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