月下美人/
ミナト 螢
君の声が僕に届く
受話器を少し曇らさせて
その空気を庇った
時間がないような気がして
一度に沢山のことを
話したくなる
僕らはまだ
何も知らないはずなのに
どうして同じ方向を
見ているの
目印さえ
決まらない世界で
ひとりになると
包まれてしまう
隠し切れない不安が
誰かを傷つける前に
君に会えて良かった
ずっとひとりで
生きて来た証は
頑張りすぎて
嫌われてしまうから
その頑なに
結んだリボンに
君が息を吹いて
花びらに変えた
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