月光頌(らいこう29)/れつら
高校に入って部活ばかりの日を過ごした僕が
はやく帰ってきた土曜の夕方
テレビを観ていると父が隣に座った
あたらしいガンダムが始まった
父はしずかな男だった
と言われたそうな男だった
この30分間
今さら月に照らされてー
トミノの声はついレファレンスを覗き込みたくなる
父の声は僕の行為のあとをついてきて
父らしい父の行為して
僕は覗き込む
覗きってなにを覗くか込むかわからないが
それが参照という行為だロォ!と
行為という単語は別に卑猥でもなんでもないのに
家族の前ではテレビを変えて
照らし出されるのを避けて
夜中になってもまだデスクライトを手で押した
夜だ
[次のページ]
戻る 編 削 Point(3)