ハード・レインを待ってる/ホロウ・シカエルボク
錆び色に暮れかけた綻びた路上に抱かれて、お前は静かに雨を待っていたんだ、記憶や宿命、そんなものに纏わるすべてを穴だらけにして排水溝に飲み込んでもらうために…一日はうだるような暑さだった、世界中が陽炎に揺らいでいるみたいだった、人々は汗に苛立ちながら…それでも役割をこなしたり求めたりして右往左往していたんだ、一昔前よりは幾らかカジュアルになったドレスコードに絡め取られながら…長く緩慢な悲鳴のような酷暑、朝の食卓のお祈りさえもほんの少しアップビートになっていた、肌と内臓を焼き尽くされ…ありえないほどの長い時間、ただ水を飲み干していた、世界が暑くなっているわけじゃないのかもしれない、ただ人間がそれに
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