八月の幻影/ryinx
 


水の 
なか
に、
泳ぐ


記憶のなかを
 明滅する光
濾過されて
 蒸留する

西へ、
それから再び東へ
ゆく鳥は
籠を抜けて
飛び去った

 八月の日差し
 ムカデの足跡
 トカゲ
 の影。

夏の名残は、
木陰の幻影

 蜂の群れと抜け殻の蝉
 揺れる水面
 蟻の群れに覆われる
 人、の影

廃園の暗がりに
浮かぶ気配

 沈む夕暮れに
 射し込む光
 に、漂う
 胞子
 。


  椅子がひとつ。

いま一度、

  飛び立とうと
  した鳥は
  そこに
  眠る





 
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