陽の埋葬/田中宏輔
ものを見たことがあるかい?」
手渡された写真に目を落とすと、翼をたたんだ、真裸の天使が微笑んでいた。
「これを、きみにあげよう。」
胡桃ぐらいの大きさの白い球根が、ぼくの手のひらの上に置かれた。男の話では、今夜のようなうつくしい満月の夜に、この球根を植えると、一週間もしないうちに、写真のような天使になるという。ただし、天使が目をあけるまでは、けっして手で触れたりはしないように、とのことだった。
「また会えれば、いいね。」
男は、ぼくのものをしまいながら、そう言うと、出てきた方とは反対側にある樹の蔭に向かって歩き去って行った。
瞳もまだ閉じていたし、翼も殻を抜け出たばかりの蝉
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