夜蜘蛛/ひだかたけし
 
蜘蛛 小さな柔らかな足取り
はったハッタと白紙を這って、
殺そうかと一瞬想ったが
なぜか指先 取り留めた

その姿立ち振舞い 繊細に伸びやか大胆に
透明な瞬間 捉えた眼差し視覚 私に語り

  *

何かを象徴し、
それはその在るもの 
実在し生き

夜蜘蛛、何処かの泉から湧き出し
住んで居るのだろう

私のこの白い小部屋に、

澄んでいるのだろう


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