二人酒[まち角20]/
リリー
てくる視線の気配
わざと気付かぬ素振りする私の声は明るく
「お兄さん!柚子酒ロックね。」
iPadへ目を落としながら
残りを飲み干す
彼は少しの間を置き
ジャガイモの明太チーズ焼きを注文する
(この人、よく来るのかしら?)
二度と、隣席になる事も
ないのかもしれない
だけども今夜
静かに飲む私に
ちょっと色を添えてくれる彼を
瞳の端がとらえる
ひとり酒
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