小さな部屋にて/塔野夏子
っくりの景色だったり
時には 銀河の果てまで見はるかせたり
君はこの部屋の時間を
ひとりで味わいもするし
時折 客人が訪れもする
それはいつも君がこの部屋に入ってきたのとは
反対側のドアから
そんなときのために
君が坐っているのと同じ椅子も用意されている
君は客人と
気の向くままに語り しばし黙ってはまた語り
その誰も知っているような 知らなかったような
「孤独」と名づけた場所の
さらに奥にあるこの部屋を
君は名づけない
君はもう一杯紅茶を淹れ
果物を 菓子をもう少し出す
時に自分のために
時に訪れる誰かのために
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