陽の埋葬/田中宏輔
だに目にした鳩の群れが、灯かりに照らされた河川敷の石畳のうえを、脚だけになって下りて行くのが見えた。階段にすると、二、三段ほどのゆるやかな傾斜を、小刻みに下りて行く、その姿は滑稽だった。
従弟妹たちを裸にすると、水に返してやった。死んだ父は、夜の打ち網が趣味だった。よくついて行かされた。いやいやだったのだが、父のことが怖くて、わたしには拒めなかった。岸辺で待っているあいだ、わたしは魚籠のなかに手を突っ込み、父が獲った魚たちを取り出して遊んだ。剥がした鱗を、手の甲にまぶし、月の光に照らして眺めていた。
気配がしたので振り返った。脚の群れが、すぐそばにまで来ていた。踏みつけると、籤細工のように、ポキポキ折れていった。
戻る 編 削 Point(10)