待ち癖/AB(なかほど)
 
  


下りに乗ってしまえば
あの日の二人が見える
ような気がする




    君が
    嘘はつかない
    という嘘をつくように

    僕は
    もう夢は見ない
    という夢を見る

    明日は
    ずっと雨
    のような晴れがつづく





新宿でも、小金井でも、
君の声が聞こえたような
気がした

それぞれの交差点
信号が変わっても
歩き出せない
君も僕も

降り出すのを合図に
歩き出す
明日へつながる
夜に横たわるために







    遂げられなかった君の夢は
    星になった

    その光は
    誰かの夢につながっている

    そんなことさえも
    守ってやれない僕らが

    ときどき泣いている






下りに乗ってしまえば
あの日の二人が見える
ような気がする

けど、いくら待っても
そんな電車は来ない


  



   
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