夜は明けるのだという寓話/ホロウ・シカエルボク
 
本棚にありますか
わたしは若いうちに並べ方をすっかり変えてしまいました
それはあなたが教えてくれたことでした
といってもあなたはそのことに気付くことはないですが
あなたはいまでもきっと同じ話を得意気に繰り返しているのでしょう

強い風が窓を揺らすたびに誰かが訪ねてきたのではないかと訝ってしまうのは
わたしがそれをとても疎ましいと思っているからに違いないでしょう
あらゆるドアや窓に鍵を掛けて
そのうえで耳を澄まして生きているのです
そして新しい毛糸の人形を編んでいます

窓辺で、朝と夜が幾度も入れ替わるのを見つめ続けたら
わたしはその窓を拳で叩き割り
切り落とした人形の首を街路にばら撒くでしょう
沢山の人間がわたしを見て
あいつはきちがいだと喚き散らすでしょう

その時わたしはきっと
それで良かったと考えるに違いありません

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