夜は明けるのだという寓話/ホロウ・シカエルボク
思わないわたしは
曖昧な境界線のどちら側にいるのかとシャンソンのリズムで思考する
世界にはいつだって、大気や、雲の流れとは関係のないところで
しとしとと血の雨が降り続いているでしょう
わたしはそれをおぞましいと思いたくはない
だれの身体の中にだってそれは流れているものなのに
衝動や本能を否定するほどの潔癖症になるくらいなら萎み切った点滴パックでかまわない
羽音のしない虫は顔をかすめてもあまり気にならない
だからあの子はいつまでもこの部屋を楽し気に泳いでいる
平和な光景にも見えるけれど殺伐としているようにも感じる
あの子の存在理由などわたしには知る由もないから
ただただ
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