夜は明けるのだという寓話/ホロウ・シカエルボク
 
損部位のあるものたちだけで結成された歴史のあるサーカス団が
どこかからの圧力で解散させられたと聞いた
そのサーカスの空中ブランコ乗りはわたしの友達だった
「血の滲む思いで身に着けた技術を披露して金を貰うことのなにがいけないのか」
かれは電話でそんな風に憤っていた

あなたが暮らす家の庭の草花は生きていますか
花弁を広げたり種を落としたりしてあなたを笑わせますか
わたしは種も落ちていない庭に水を撒く
わたしたちがその場所に求めるものは
わたしたちがその場所で目にしたいと願っているものは

電話がコールされたけれど一度だけだった
わたしはかけ直したりはしなかった
ただ、もし
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