夜は明けるのだという寓話/ホロウ・シカエルボク
死んだ草が風になるのを待っている道の秩序を
ソールで滅茶苦茶に荒らしながら歩いた
深い湿気のもやが身体中にまとわりつく
携帯プレイヤーのバッテリーは音を上げ
音楽は記憶の中だけでコードを探し続けていた
いつか夢の中で見た湖が思い出のように偽装されていて
脳髄の片隅でそれを探し続けているような日々
あてのない足音の残響はどこへ向かうのだろう
願わくばそれがわたしの生活の余白でないことを
綻びた爪を噛みちぎったら舌先から血が流れた
電気機器が立てるような小さなノイズは
きっとわたしの生命活動の音だろう
表示されないカウンターが心許ない明日を
なんとか確実なものにし
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