寝ぐら[まち角16]/リリー
 


 神への歌を忘れ果てた犬が
 夜を彷徨う
 細い脚が痩せこけた腹を支えて
 乾いた目をまっすぐ下に向けて
 舗道を行く

 俺のねぐら
 俺のねぐらは何処か?

 彼は思う
 俺のもぐり込む場所が無い

 そして思う
 日でも月でも照っていた時には
 俺は彷徨う所すらない

 彼は目を上げようとしない
 星が一杯輝いているのに
 彼は知らない

 神が手を伸べていらっしゃるのに
 彼は知らない


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