おかめ/蒼木りん
 
もしかして
もう梅雨ですか
寒くって
洗濯物が乾きません

世の中に
五月晴れなんて
もしかしたら無いんじゃないかと
半袖をしまう

わたしなら
そんなありきたりのこと
口にしない
違和感だらけ
そんなだから
会話にならない

何を求めてるの
スクラッチの100万
50万でもいい
10万でも
それで上手くゆくならね

触らないで
近づかないで
足音がすると
ギョッとする

とてもじゃないけど
寂しがり屋に
奉仕できない
お返しも苦手

月が雨の器になった
わたしは
遠い恋人を想う
短時間ひとりよがり

風が吹かなければ
やさしい夜なのに
奇跡は奇跡だから
待てど暮らせど来ぬはずだ

大切に出来なかったものへ
わたしなど
過ぎた桜の花びら
5月なのに
寒い
まだ身体は冬のまま

空はいつも曇っている
わるい男は
人の皮をかぶっていて
自転車に乗って来て
桜の木の陰から
手招きする


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